Vol.2 発酵について(食品)

アルソアR&Dセンター 山田一木
アルソアR&Dセンター
山田一木
発酵とは
そもそも発酵とは何か?実はそれほど難しい概念ではなく、微生物の作用が人にとって良いものである場合を発酵、よくないものである場合を腐敗という、その程度のものです。どちらも微生物の作用という意味では変わりはありません。別の言い方をすると、微生物の働きにより付加価値がつくこと、が発酵といえます。私たちに最も身近な「食品」で考えると、付加価値として、①味がよくなる(美味しくなる・変化する)、②消化がよくなる、③保存性が高まる、④健康に役立つ、などが言われています。このような付加価値を上げる目に見えない微生物の働き=発酵を現代の錬金術に例えた先生もいます。
日本の風土と発酵食品
発酵食品は世界中に存在し、その起源は偶然によるものです。しかしながら、人はその偶然の発見を微生物の存在も知らなかった時代から再現を試み、人為操作による発酵食品の製造にまで磨き上げてきました。
日本はとりわけ発酵食品が豊富な国と言われます。気温や湿度が適していること、縦に細長い国で四季があり、海に囲まれた山国であるすなわち食材が豊富、四季があるすなわち食材の保存について必然性があった、日本人の気質(凝り性、もったいない精神)、などがその要因と考えられます。日本の発酵食品の大きな特徴は「麹」を使っている場合が多いことです。麹とは蒸した穀物に麹菌というカビの一種を生やしたものです。温暖湿潤の日本の気候にカビの仲間はよくあったのでしょう。酒、しょうゆ、味噌、お酢、みりん、甘酒など多くの発酵食品の製造になくてはならないものとなっています。
「日本の風土と発酵食品」
注目される発酵食品
発酵食品はその歴史的な背景や地理的特徴を反映し、その国々独自の発展をとげています。多くは食文化として根づき長い歴史の中でつくられ続けるものですが、すでに絶えた発酵食品もあり、そして、新たに生まれる発酵食品も存在します。
たとえば、「酵素飲料」と呼ばれる発酵食品は日本独自のもので、特に健康効果を期待してつくられた発酵食品といえます。健康に関心が高まる中、発酵好きな日本人の支持を受けて、2012年頃にはブームになるほどの盛り上がりを見せ今日に至っています。
近年、微生物と人との関わりは、健康面で考え方を大きく変化させており、それに伴い発酵食品も各方面で見直されてきているようです。
今回は、発酵食品の概要をざっくりと述べてみました。次回は発酵食品の製法について述べてみようと思います。

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