Vol.3 植物色素について

アルソアR&Dセンター 西山安江
アルソアR&Dセンター
西山安江
光と植物色素
太陽は地上に多くの恩恵をもたらしますが、同時に生物にとって有害な要素も持ち合わせています。例えば、紫外線を多量に浴びてしまうとDNAが損傷し、遺伝子の変異や細胞死を引き起こす要因となるうえに、活性酸素の発生により細胞障害を引き起こすことが知られています。動くことができない植物は常に太陽に曝されているためそのリスクが高く、対策として色素をつくります。色素には特定の波長の光を吸収する性質があり、紫外線をはじめとする様々な波長の光に対応する色素をつくることで、光によるダメージから身を守っています。また、色素は強力な抗酸化作用ももっています。光を浴びることで色素の生成や光合成は進みますが、その一方で活性酸素も発生します。この活性酸素によって酸化障害を受けると植物は成長ができなくなってしまうため、色素で活性酸素を消しているのです。
このように植物は色素で光そのものから身を守り、さらに光によって発生した活性酸素からも身を守っているのです。
光と植物色素
ヒトと植物色素
植物だけがつくることのできる植物色素ですが、実は私たちの体の中にも存在し、それぞれが必要とされる場所で重要な働きをもっています。例えば、ほうれん草に含まれるルテインやブルーベリーに含まれるアントシアニン、トマトに含まれるリコピン、ニンジンに含まれるカロテンなど、人の健康と深い関わりがあることが分かっています。これら植物色素は一度にたくさん摂るよりも、毎日摂り続けることで効果が得られやすくなり、また、ひとつの成分を選択して摂るよりも、様々な成分を組み合わせて摂ることで相乗効果が期待されます。植物色素を豊富に含む野菜や果物を食べることで、体の中に植物のチカラを摂り入れ、健康のために役立てることができるのです。

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